名牛「平茂勝号」について

名牛「平茂勝号」の碑

 平茂勝号は、平成二年鹿児島県薩摩郡宮之城町(現さつま町)に誕生した。母ふくみ号は気高系の宝勝号を父とする曽於郡の産で、長谷義信氏により当地に導入された。優れた繁殖性に加えて、農業生産法人のざきによって卓越した産肉性の遺伝的能力をも証明された。父第二十平茂号は気高号の父娘高配の所産で、種牛性と産肉性を兼備した優良種雄牛として著名であったが、十六才にしてふくみ号の第九子に大輪平茂勝号を後継に得た。

 平茂勝号は地元の徳重学氏によって、その類稀れな遺伝的能力を育成開花させられ、量質兼備の堂々たる種雄牛として平成四年の第六回大分全共でデビューした。父ゆずりの優れた発育と体積均称と資質品位は、本牛を目にした全国の和牛関係者や審査委員を瞠目せしめ、圧倒的な成績で名誉賞を獲得した。さらに供用開始後の各種検定、枝肉共励会、全共等において、優れた和牛の特性を強力遺伝する抜群の成績を収め、たちまち全国的に圧倒的な名声を博するに至った。

 今や産子数は二十五万頭、種雄牛数は三百頭を超える勢いで、地元に高い経済効果を還元しながら、全国各地にあまねく優良和牛遺伝子を供給し、世紀を超える不世出の種雄牛として和牛改良史にその名を刻みつつある。

 平茂勝号の顕彰碑建立に当り、ここに畏敬の念を以て蕉辞を連ねるものである。

平成十七年十一月吉日

全国和牛登録協会
会長理事農学博士
福原 利一